婚約破棄されたので辺境で新生活を満喫します。なぜか、元婚約者(王太子殿下)が追いかけてきたのですが?
「そうだな。そうしたいのはやまやまだが……まだその時期ではない。おまえ、気づいていないのか?」
「何が?」
 やれやれ、とでも言いたげに、セドリックは肩をすくめて大げさに首を振った。
「学生魔導具開発展が開かれただろ?」
「ああ、おまえがエステル嬢に出てほしくなかった、あの魔導具の技術を競うアレね」
 エステルの代わりに代表になった学生は高等部三年の男子学生で、なんとか優勝を勝ち取った。二位の学生とは僅差だったが、エステルだったら頭一つ分抜き出て優勝できただろう。それを考えると、少し悔しい思いと、ジュリアンへと怒りが込み上げてくるのだ。
「あの開発展が終わってから、見慣れぬ者が王都に出入りしているという情報が入った」
「見慣れぬ者? まぁ、ここは王都だからな。いろんな国から人がやってくるだろ?」
「そうかもしれないが、見るからに怪しい人間ってことだ。恐らく、おまえの国のな?」
 セドリックが眉間に深くしわを刻めば、ジュリアンもはっとする。
「例の学生は、そのまま学園の大学部に進学する。今すぐどうこうされる心配はないが、魔導技師や魔導職人たちに彼らの手が伸びるというのも十分に考えられるわけだ」
< 91 / 265 >

この作品をシェア

pagetop