弟のように思っていたのに、恋を教えてくれて――。
翌週。最近は週末にお互いの家に行き来するようになっていた。きっかけは夏樹に「家に来ない?」と誘われて。
今日は私の住んでいるアパートに来ていた。そして今はお昼のたらこパスタを食べている。
「遥、最近仕事の方はどう?」
「調子あんまり良くないかも……振られてばっかり。でも頑張るんだ。私はまだ頑張れる! 夏樹はどうなの?」
「ぼちぼちかな。何か悩みとかあれば言ってな?」
「弟みたいだったのに、最近はお兄さんみたいだね」
「……そう言われるの嬉しいかも。昔は守ってもらってばかりだったけど。今は遥のことを守りたいと思ってるから」
夏樹が私のことを守りたいって……昔の私が聞いたら驚くだろうな。ふわっとしたものが心の中で込み上げてくる。
「お兄さん!」
「いや、でもお兄さんって呼ばれるのも微妙だな」
「ね、微妙だね。そもそも夏樹は私よりも年下だしね。やっぱり弟だよね」
「弟だと思われるのも嫌だな……」
ふっと夏樹は視線を横にやった。
私たちは黙々とパスタを食べる。
「遥、恋愛小説上手く書けるようになった?」
「えっ?」
恋愛小説の話を突然されて驚いた。まさか夏樹にそんな質問をされるなんて。心臓が跳ね上がりフォークを持つ手が止まる。
「書いてること、知ってたの?」
「うん、夏にカフェで遥の恋愛描写がなんとかって独り言を聞いてた時に、パソコンを後ろから覗いてた。それから知ってる……」
「やっぱり見られてたんだ」
当時、文章のどこ辺りをパソコンで開いていたっけ? 事実がはっきりすると恥ずかしいな。
私はニコッと営業スマイルを作ったけれど、心の中は騒がしくなった。
あの時カフェでもしかして見られていたかも?って思っていたけれど――見られていたんだ。
「遥をデートに誘ったのも、それが理由のひとつで……」
あぁ、だからあの日、急にデートに誘ってくれたんだ。
たしかに最近、恋愛描写が上手くなった気がする。そして何故コンテストの一次選考にも通らなかったのかも分かってきた気がするし。夏樹は私の悩みに全力で行動してくれて、解決してくれようとしてくれていたんだ。夏樹になら、見せても良いかな。
「夏樹、ちょっと待ってて」
「うん、いつまでも待つよ」
「いや、本当にちょっとだけだから……」
今日は私の住んでいるアパートに来ていた。そして今はお昼のたらこパスタを食べている。
「遥、最近仕事の方はどう?」
「調子あんまり良くないかも……振られてばっかり。でも頑張るんだ。私はまだ頑張れる! 夏樹はどうなの?」
「ぼちぼちかな。何か悩みとかあれば言ってな?」
「弟みたいだったのに、最近はお兄さんみたいだね」
「……そう言われるの嬉しいかも。昔は守ってもらってばかりだったけど。今は遥のことを守りたいと思ってるから」
夏樹が私のことを守りたいって……昔の私が聞いたら驚くだろうな。ふわっとしたものが心の中で込み上げてくる。
「お兄さん!」
「いや、でもお兄さんって呼ばれるのも微妙だな」
「ね、微妙だね。そもそも夏樹は私よりも年下だしね。やっぱり弟だよね」
「弟だと思われるのも嫌だな……」
ふっと夏樹は視線を横にやった。
私たちは黙々とパスタを食べる。
「遥、恋愛小説上手く書けるようになった?」
「えっ?」
恋愛小説の話を突然されて驚いた。まさか夏樹にそんな質問をされるなんて。心臓が跳ね上がりフォークを持つ手が止まる。
「書いてること、知ってたの?」
「うん、夏にカフェで遥の恋愛描写がなんとかって独り言を聞いてた時に、パソコンを後ろから覗いてた。それから知ってる……」
「やっぱり見られてたんだ」
当時、文章のどこ辺りをパソコンで開いていたっけ? 事実がはっきりすると恥ずかしいな。
私はニコッと営業スマイルを作ったけれど、心の中は騒がしくなった。
あの時カフェでもしかして見られていたかも?って思っていたけれど――見られていたんだ。
「遥をデートに誘ったのも、それが理由のひとつで……」
あぁ、だからあの日、急にデートに誘ってくれたんだ。
たしかに最近、恋愛描写が上手くなった気がする。そして何故コンテストの一次選考にも通らなかったのかも分かってきた気がするし。夏樹は私の悩みに全力で行動してくれて、解決してくれようとしてくれていたんだ。夏樹になら、見せても良いかな。
「夏樹、ちょっと待ってて」
「うん、いつまでも待つよ」
「いや、本当にちょっとだけだから……」