籠の中の鳥
 それ以来、俺は毎日ドキドキしながら過ごしていた。もはや監禁されていることよりも、紗里奈がいつ彼氏のところへ行くのか、いつ同棲を始めるのかばかり考えていた。

 そして、昨日の夜。紗里奈は久しぶりに1人で酒を飲んでいた。1人で飲むことはこれまでも見たことがあったが、なんだかとても辛そうだった。俺は思わず声をかけた。

「おい、あんまり飲むな。悪酔いするぞ?」
「っるさいなぁ、もう!」

 そう言って紗里奈は机に突っ伏して動かなくなった。

(なんだよ。寝るならちゃんと着替えろよ……)

 しかし、聞こえてきたのは寝息ではなく嗚咽だった。

「翔ちゃん……同棲……無くなったから……」
「……」
「彼氏もいなくなった……」
「……そうか。」

 初めて紗里奈のそばにいてやりたいと思った。でも俺はここから出られない。

「二番目だったんだって。友達が教えてくれたの。馬鹿みたいだよね……っ……嬉しくて舞い上がって……翔ちゃんに同棲するって宣言したのにさ……っ……」

「馬鹿みたいだなんて思わねぇよ。お前は良くやってる。俺の飯、用意してくれたりとかさ。」
「ははは……そうだよね。私がいないと翔ちゃんのご飯準備する人いなくなっちゃうもんね。」

「紗里奈のことを大切にしてくれる奴は他にいる。良かったじゃん、同棲する前に気づいて。」
「……そうだね。そうだよね、私には翔ちゃんがいる。ありがとう、翔ちゃん。」
「……あぁ。」

 紗里奈はゴシゴシとタオルで顔を拭いて、お酒の缶を開けた。

「よしっ!今日は飲むぞー!ヤケ酒だー!」
「おい、無理するな。明日辛くなるぞ?」

 紗里奈は俺の言葉を無視して飲み続けた。
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