初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
「綾音!」
「えっ、きゃっ!」

 突如、右腕を引かれ、彼の体に寄りかかる。ハッとして顔を上げれば、前方から人が来ていたようで、ぶつかりそうになっていたところを蒼士くんが腕を引いて避けてくれたようだった。

「ご、ごめんなさい……」
「ちゃんと前を向いて歩かないと」
「はい……」
「綾音は昔っから何かしながらのことが多いよな。家でもアイス食べながら歩いてたし」

 よく床に溶けたアイスが落ちてたと言われて、恥ずかしい過去を思い出す。

 そんなこと、すぐに忘れてくれたらいいのに、ひとつ思い出したらいろんなことを思い出してしまうのか、お菓子を零していた話や歩きながら本を読んで壁に頭をぶつけた話などをされて赤面してしまう。
 これだけいろんなことを鮮明に覚えているのだ、あの日の告白すらも彼の中で風化せず残っていると思うと、消えたくなった。

「もう! 昔のことは忘れて」
「綾音?」
「それに呼び方と……、あと腕も」
「あっ」

 先ほど助けてもらったばかりだと言うのに、素っ気ない言い方になってしまう。
 蒼士くんはごめんと謝ると、私の腕から手を離した。

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