初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 彼の顔を見ることができなくて、自然と視線が下がっていく。
 親から叱咤されるのがわかっていて俯く子どものように彼からの言葉を待っていると、案の定というべきか、盛大な溜め息をつかれた。

「なんで、それを早く言わないんだ」
「……ごめんなさい」
「今までの実績もあるし、やれるって判断したんだろうけれど、前の会社でだってひとりで全部はしてこなかっただろ?」

 そう聞かれて、こくりと首を振る。

 困ったときは手を差し伸べてくれる同期や上司がいた。周りが助けてくれた。そして、ちゃんと私も周りに頼ることができた。
 だけどいまは、ちっぽけなプライドと過去のことが引っかかって、彼に頼れないでいる。
 仕事に私情を挟んではならないと理解しているにもかかわらず、私はこの数日、無駄にあがいてしまった。

「大丈夫。まだ二週間あるから。それに、案はいろいろ出したんだろ?」
「はい……」
「なら、ブレストは明日俺とやろう。リサーチャーには同時に声をかけていいかも。デザイナーには週明け動くと伝えて、先に構想だけは送っておけば十分間に合うよ。作るイメージ図も今回はそこまで多くないから」
「……っ」

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