初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 本来、私が整理しなければならないことをてきぱきとまとめてくれて、彼の能力の高さを知るのと同時に、自分のいい加減な仕事の仕方にみっともなくなる。

 だけど、いまは反省している場合ではない。

 早速、頑張らなくてはと気合を入れてパソコンに向かったところで、ぽんと頭を撫でられた。

「大丈夫。綾音ならできるよ」
「蒼士くん……」

 つい、昔の呼び方で彼の名前を呼んでしまう。

 彼に頭を撫でられたのはこれが初めてではない。
 昔はよく彼に勉強を見てもらっていて、難しい問題が解けたときや、テストでいい結果を残したときに、よく頑張ったなと頭を撫でてもらっていた。
 小学生の頃はまだ私も幼かったこともあり、それを恥ずかしいことだとは思っていなかったのだ。
 当時は自ら褒めるように催促して、彼に頭を撫でてもらっていたように思う。

 だから、こうして頭を撫でられて、懐かしさの方が勝ってしまった。
 それと同時に、やっぱり蒼士くんは優しいんだな、と思ってしまう。

 ――こんなの、また好きになっちゃうよ……。

 過去の気持ちがまだ残っているからそう思ってしまうのか、初恋の痛みと共にじんわりと温かな気持ちが胸に宿る。
 
 また彼に恋をしてしまいそうになっている自分が悔しい。
 だけど、もう恋はいいやと諦めて枯れかけていた心に、また血が通ったような気もして嬉しくなる。

< 21 / 55 >

この作品をシェア

pagetop