初恋のやり直し ~過去に私をふった彼からの猛アタック~
 だけど、現実は違った。

「ごめん。気持ちは嬉しいけど、綾音の気持ちには答えられない」

 まさか彼からフラれるとは思わず、ショックのあまり顔が引き攣ってしまった。
 告白する瞬間まで、心臓が口から飛び出そうなほど暴れていたのに、いまは冷水を頭から浴びせられたみたいにスーッと血の気が引いていく。

 蒼士くんは、もう一度ごめんと私に謝ると、気まずそうに視線をそらした。

「綾音は絢斗の妹だし、俺にとっても妹みたいっていうか……」

 彼から妹みたいな存在だと言われて、そこでやっと私が思い上がっていたことに気付く。
 蒼士くんが優しいのも、特別扱いしてくれるのも、兄の妹だからだ。
 友人の妹だから、大切にしてくれている。

 それを理解した瞬間、悲しさよりも恥ずかしさの方が勝った。

「……ごめん、今のことは忘れて!」

 どこにも逃げ場なんてないのに、蒼士くんを自分の部屋に置き去りにして、自分ひとり家を飛び出す。
 それから数時間後、兄から連絡が来て、蒼士くんが帰ったことを知った。

 それ以来、私は蒼士くんに会わせる顔がなく、また彼も受験で忙しくなったのか家には寄り付かず、それきりだ。
 兄も実家を出ていってしまったため、彼の近況を聞くこともなくなってしまった。

 だからこの淡い初恋は、私の中で痛かった教訓として一生蓋をするつもりだった。

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