敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
「……分かった。」

私がそう答えると、エドリックの表情がふっと和らいだ。

肩の力を抜いたその姿は、いつもの厳しい騎士団長ではなく、安堵を滲ませた婚約者の顔だった。

「大丈夫です。あなたが連れてきてくれた兵が合流すれば、我が軍は最強でしょう。」

柔らかな声だったが、それがただの気休めであることは私にも分かっていた。

戦況は拮抗し、わずかな油断が命取りになる。

「……ダニエル。」

エドリックが副団長を呼ぶ。

近くで待機していたダニエルが一歩前に出た。

「アレクサンドラ皇女を見張っていてほしい。」

「見張る?」と私が眉をひそめるより早く、エドリックは続けた。

「見ただろう、何をしでかすか分からない。」

横目で私を一瞥したダニエルの口元に、わずかな苦笑が浮かぶ。

「了解です。」

短く応じた声に、否応なく釘を刺された気がした。
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