敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
彼は静かに歩み寄り、私の剣に視線を落とした。

「あなたは剣を振るわなくても、私があなたを守ります。」

真っ直ぐな灰色の瞳が、ためらいなく私を射抜く。

「エドリック……」

私は彼の前に一歩進み出て、その手を握った。

指先から伝わる温もりは、戦場の冷気すら溶かすようだ。

「いつも側にいてくれて、ありがとう。……助かる。」

「それが、私の役目です。」

低く優しい声が胸の奥に響く。

その響きは力強く、同時に不思議な安心感を与えてくれる。

婚約が決まったとき、私は少し戸惑っていた。

幼い頃から剣の稽古を共にし、戦術を学び合ってきた騎士団長

――いつも隣に立っていた戦友が、夫になるなんて想像もしなかったからだ。

あの時も、エドリックは淡々と「あなたを守るのが私の務め」と告げた。

その言葉は、恋というより誓いに近く、私もまた政治的な意味を含めて受け入れたのだ。
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