敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
「ずっと……感情を抑えていた。」

唇が離れると、荒い息が私の頬をかすめる。

「結婚まで待とうと、自分に言い聞かせてきた。」

月明かりが差し込む中、エドリックが私を見下ろす。

その瞳は、騎士団長の冷静さではなく、一人の男の情熱に燃えていた。

「でも君が言うように、明日どうなるか分からない命だ。」

声が震えるほど真剣で、切実だった。

「後悔して死にたくない。」

その言葉に、胸が強く締めつけられる。

戦場の明日を知る者はいない――だからこそ、この瞬間が永遠に思えた。

エドリックの指先が、ためらいなく私の衣の留め具を外す。

布が肩から滑り落ち、鎧の冷たさとは違う空気が肌を撫でた。

「……エドリック」

胸の奥で小さく名前を呼ぶ。

恥ずかしさが頬を熱く染めるが、同時に――彼になら、この身を預けてもいいと思えた。
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