敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
「この王都にまで攻め込まれれば、大変なことになる。」

父王の言葉は冷徹だったが、その奥に焦燥が滲んでいる。

私は背筋を伸ばし、真っ直ぐに父を見据えた。

「――私に兵をお任せください。」

声は震えていなかった。

王女であり、皇太子である私の務めは、民と国を守ること。

たとえ剣を血に染めても、その覚悟はできていた。

「ダメだ!」

玉座の間に父王の怒声が響いた。

「皇太子が自ら戦地に赴くなど、あってはならぬ!」

その強い拒絶に、胸が締めつけられる。しかし私は一歩も退かなかった。

「皇太子だからこそです!」

はっきりと声を張る。

「何よりも、この国を守ることが私の役割です!」

視線を逸らさずに告げると、玉座の間の空気がさらに張り詰めた。

その時、隣に立っていたエドリックが静かに前に出た。

「国王陛下、私も皇太子殿下と共に参ります。」
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