敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
低く落ち着いた声は、確固たる決意を帯びている。

父王の眉間の皺がわずかに緩む。

「おお……おまえが行ってくれるなら頼もしい。」

そして私をちらりと見やり、重々しく言葉を継いだ。

「エドリックが側にいるのなら、許そう。」

胸に熱が込み上げる。

私は思わずエドリックの背を軽く押した。

――さすがは私の婚約者。

私の望みを、そしてこの国への覚悟を、誰よりも理解してくれている。

それから、我が軍は急ぎ戦の準備に取りかかった。

一日たりとも無駄にはできない。

兵の編成、武具の点検、物資の確保――城内は慌ただしい足音と怒号で満ちていた。

既に迎え撃つための第一軍は、騎士団長エドリックの指揮で出発するところだった。

甲冑の金具が陽光を反射し、馬上の兵たちは緊張に顔を引き締めている。

「エドリック、戦地で会おう。」

馬に跨る彼に声をかけると、エドリックは手綱を引き、私の前に降り立った。
< 5 / 27 >

この作品をシェア

pagetop