敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
「勇ましい……さすがは皇太子殿下。」

声をかけてきたのは、副団長のダニエル。

彼はエドリックの親友で、常に彼の右腕として戦場を駆けてきた男だ。

「エドリックは、きっとあなたを勝利に導きますよ。」

鎧越しにも分かる力強いまなざしに、胸の奥が少しだけ熱くなる。

私は無言で頷き、鞍に手をかけて馬に跨った。

するとダニエルも軽やかに馬に乗り、私の後方に位置を取る。

「――行くぞ!」

私の号令と共に、兵たちが鬨の声を上げた。

「おおおっ!」

蹄の音が大地を震わせ、軍旗が風を切る。

私たちの軍は、先行するエドリックの第一軍を追うように、戦場へと駆け出した。

胸の奥で高鳴る鼓動は、恐れではない――ただ、この国を守る覚悟だけが、私を突き動かしていた。

そして数日後、私たちはリスクムの軍と対峙する野原へと到着した。
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