敵国の王に囚われた皇女は、愛に溺れる
冬枯れの草原は風にざわめき、遠くには戦の煙が上がっている。

先に布陣していたエドリックの第一軍に合流すると、兵たちの鎧にはすでに幾つもの傷が刻まれていた。

「敵は?」

「一歩も退かず、この地で攻防戦を続けています。」

副官の報告に眉をひそめる。

私は視線を前方に向けた。

黒々と連なる敵陣、その中央に掲げられた旗は、かつて地図から消えたはずの紋章――。

「リスクム軍の将軍は誰だ?」

問いかけに、エドリックが険しい表情で答えた。

「……王と名乗るカエルムです。」

「王?」思わず聞き返す。

「先々代の時代に滅ぼされた王の末裔だそうです。」

その言葉は、冷たい刃のように胸に突き刺さった。

「生きていたのか……」

唇の端から舌打ちが漏れる。

死んだはずの血が、今なおこの地で燃えている。

私の目は、風に翻るあの旗を捕らえて離さなかった。
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