灯りはそのままに
あ⋯⋯。

開いてみると、シュウジからだった。

毎日といっていいほど、メールをくれる人。

本当に彼は奇特な人だな⋯⋯と、いつも思う。

「ピノコ、お疲れ様。夏休みは帰省するの?」

私の携帯のアドレス帳には、シュウジ以外の異性はいない。

「お疲れ様。帰省はしないよ」

それだけ返信した。

私って、感じが悪いだろうか。

でも、一体どう返していいのか私にはわからなくて⋯⋯。





シュウジとの出会いは、大学に入学して間もない頃。

午後が休講になったある日、私は気まぐれで一人、ふらりと相模湖へ向かった。

住んでいるのが高尾駅のすぐ近くなので、電車で一駅だが、まだ行ったことがなかった。

遊覧船に乗りたいのに、駅からの道をちゃんと調べなかったので、何処へ向かっていいのかわからず、キョロキョロしていた。

平日、その時刻の相模湖駅は人もまばらだった。
< 2 / 28 >

この作品をシェア

pagetop