灯りはそのままに
そうこうしているうちに、すぐに遊覧船乗り場についた。

「ありがとうございました。わざわざ案内してくれて」

「いいよ、そんな。遊覧船か⋯⋯俺も乗ろうかな」

えぇ!?と思いもしたが、一緒に遊覧船に乗ることにした。


「遊覧船なんて久々だけど、やっぱり気持ちいいね!」

シュウジは無邪気な子供のように言う。

彼の少しだけ長めのサラサラの髪が風に踊る様子に、密かに見とれてしまった。

「そうだね」

私って、本当に無愛想だな⋯⋯そんな自分が本当に嫌い。

でも、恐らくもう会うことはない人だし、別にいいかな⋯⋯。

あっという間に遊覧船は船着場に戻ってきた。

「楽しかったね!」

シュウジの弾けるような笑顔が目映い。

「うん!」

素直にそう答えたとき、シュウジが何故か私をじっと見て、

「今、初めて笑ってくれたな⋯⋯」

そう言ったので、リアクションに困った。
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