灯りはそのままに
「ううん、東京のカラッとした人間関係は好きだけど、都心は人が多すぎて疲れてしまうから」


それから私たちは、いろんなことを話した。

最初は警戒していた私だが、シュウジはこれまで知り合った男の子とは違うというか⋯⋯ちょっと不思議な人だとは思ったものの、とにかく優しかった。

「今更だけど⋯⋯こんな風に二人で居たら、妬く相手がいるんじゃない?」

「え?」

「恋人とか」

「私にそんな人、いるわけないじゃない」

即答すると、シュウジは驚いたようだった。

「どうしたの?」

「いや⋯⋯ピノコ、モテそうなのに、即答で、いるわけないって言われたから、ちょっとビックリしたよ。まぁ、俺も独りだけどさ」

「むしろ、シュウジのほうが意外だけどね」

「そうかな?」

「優しい人だから」

ルックスもいいし⋯⋯と、心の中で呟く。

「そんなことないよ」

そう言って笑う顔からして、優しい。
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