灯りはそのままに
ナチュラルに気遣い上手なんだな⋯⋯と思い、バッグにそのメモをしまった。

電車がやって来たが、高尾まではたった一駅だ。

一緒に下車し、

「俺は乗り換えなんだ。じゃあ、またね」

そう言って、シュウジは手を振る。

私も、小さく手を振ると、彼に背中を向けて歩き出した。


私の暮らすマンションは、駅から徒歩1分だ。

部屋でぼんやり、シュウジにもらったメモを眺める。

この人は、本当に連絡が欲しいのかな?

私には、彼の本心が全く読み取れなかった。

そうだ。

緊張していたせいもあり、助けてくれたことや奢ってくれたことにお礼を言っていなかったことに気がついた。

受話器をとり、何度も電話をかけようとしたが、最後までボタンを押せない⋯⋯。

メールなら少しはハードルが低い気がして、今日はありがとうと一言だけ送った。

すると、

「連絡くれて、凄く嬉しいよ!こちらこそありがとう」
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