ホンモノはどっち?〜僕と君の証明〜
「向日葵、まずは仮定を立てよう」

「ここに注目して」

伊織が口を開くと、分身伊織も口を開く。その瞬間、伊織は頭の中にある仮説を立てた。姿・考え方がそっくりだとしても、本物と分身では決定的な違いがある。それはーーー。

「えっと……2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいから……結論は△AOB=△COD?」

向日葵が不安そうに伊織の方を見る。この瞬間が自身の中の仮説を証明するチャンスだと伊織は思った。伊織は向日葵の方に手を伸ばす。そして、彼女をグイッと引き寄せた。伊織の唇が彼女の頭に触れる。

「よくできました」

「い、いいい伊織!?」

向日葵の顔が真っ赤に染まる。伊織の胸も高鳴って止まない。向日葵の反応をずっと見ていたかったものの、それを堪えて分身伊織の方を見る。彼は不思議そうにこちらを見ていた。

「……やっぱりな」

伊織は自分の仮説が正しかったことに安堵し、分身伊織に近付く。伊織はまだ不思議そうにしていた。
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