星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
(クラスも違うし、あまり話したこともないから、よく分からない。だけど……)

声に変わる前の想いだけが、秋の空気にかすかに残った。

(――また会ってみたいかも……って、あれ……?)

わたしはいつの間にか、見知らぬ場所に立っていた。

(どうして、外に……?)

先程の部屋から一転、大きなバス乗り場にいた。
『エアポートバス』って書かれている、大きなバスが何台もとまっている。
そういえば、ここって一体、どこなんだろう?
どうやら、完全に道に迷ってしまったようだ。
確か、周防くんは宇宙空港で会おうって言っていたけれど。
そもそも、宇宙空港ってどこ?
こういう時、スマホがあればいいんだけど、わたしの家はビンボー。
家族全員で使う、スマホしかないんだ。

「……そうだ! こういう時は、攻略本で地球のことを調べればいいんだ!」

わたしはピンときた。
攻略本には、地球のことが載っている。
攻略本で調べれば、宇宙空港の場所が分かるはずだ。

「えっと……宇宙空港……。ここから、まっすぐに進んだらいいみたい。それにしても暑い……」

秋に入ったというのに、今年も異例の暑さが続いている。
立っているだけでじんわりと汗ばんできた。
そのうち、秋という季節はなくなるかもしれない。
そんな危機感を感じさせる暑さ。
それでも、わたしの心は別の方向に向いていた。
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