星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち

星おこしは星を盛り上げて、星の活気を取り戻すこと。
つまり、星おこしをすることによって、地球の魅力を宇宙にアピールすることにもつながるんだ。

「地球は、太陽系惑星の一つ。以前は『奇跡の惑星』と大絶賛されて、多くの宇宙人さんたちが観光に訪れていたらしいの」

千彰くんのお母さんは昔をなつかしむように言った。

「でも、今は温暖化などの地球の環境問題がいっぱいあるでしょう。その影響で、宇宙空港を訪れる宇宙人さんたちはだいぶ減ってしまったの」

地球の環境問題。
そういえば、学校の授業で、先生が深刻な状況になっているって話していた。

「だから、宇宙人さんたちが再び、地球に来たくなるような魅力をアピールしたら、どうかなと思ったの。銀河経由のSNSや動画で、星おこしの様子を発信したりしてね。もし、地球を気に入ってくれたら、宇宙人さんたちは地球の環境問題に協力してくれるかもしれない」

それって……星おこしが盛り上がったら、地球の環境は今より良くなるかもしれないってこと！？
地球の魅力をアピール。
責任重大だ。
そんな大役、わたしにできるかな。

「ひよりおねーちゃん。ボクも、ほしおこし、てつだう！」

不安を募らせたその時、千彰くんがバンザイのポーズで声を弾ませた。

「千彰くん……」

あまりに突然の話で頭が混乱していたけど、その励ましに勇気づけられる。
もし、星おこしが盛り上がったら……。
地球を含めた、たくさんの星が救われるのだろう。

「はーい、はーい！　わたし、やります！　頑張って、スイーツ愛で、すべての星を救ってみせます！」

もはや、わたしの心は決まっていた。
これは家出中のわたしにしてみれば、降って湧いたような幸運だ。

「千彰くん、一緒に頑張ろう。おいしいは地球を救う！！」
「やったー！　いっちょにがんばるー！」

わたしの声に反応して、千彰くんははにかむような、柔らかな笑みを浮かべた。
そのふんわりとした笑顔がかわいくて、不覚にもどきっとしてしまったんだ。