星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「いらっしゃいませ」
「……来た!」

わたしはチラッと別の席に目を向ける。
そこには、ニンジンのような形をした宇宙人さんと、マイクのような形をした宇宙人さんがいた。
彼らが今回のターゲット、消滅しかけている星が具現化した宇宙人さんたちだ。
二人とも注文したスイーツをおいしそうに食べている。

どうやら、ニンジン星人さんとマイク星人さん、スイーツが大好きみたい!

わたしもまた、彼らの中へ溶け込み、あまい幻想の世界へ行き着く瞬間へ思いをはせた。

「ショートケーキ、待ってましたー」
「おっきーいいちご! ふわふわ~!」

わたしと千彰くんは、運ばれてきたショートケーキを前にして目を輝かせた。

「んーーっ! おいしい!」

わたしはいろどり豊かなショートケーキを堪能する。
見て楽しい、食べておいしいショートケーキは伝説級の驚きに満ちていた。
めちゃくちゃ幸せな味。
これはもはや、殿堂(でんどう)入りだよね。

「むぐっ……おっきーい……」

ふと目線を巡らせると、千彰くんは一生懸命、イチゴと格闘していた。
食べるのに苦労しているみたい。

(かわいいなあ)

がんばれ、負けないで、とわたしは心の中でエールを送る。
もぐもぐ。
ショートケーキを食べ終わった後、カフェオレで一息入れた。
よーし!
ニンジン星人さんとマイク星人さんが、お店から出ていく前に。
早速、行動にうつさなくちゃ!
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