星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「えっと……じゃあ、早速、星おこしをします」

わたしはこほんと咳払(せきばら)いして、思ったことをそのまま口にする。

「日和ちゃん、お願いね」

事前に話を聞いていた千彰くんのお母さんはうなずいた。
わたしは席を立つと、さっそうと中央に立った。

地球のサブクエスト24、『スイーツショップに星の預言者、現れる』。
うまく、預言者らしく話せるかな……。

そう思うと、じわじわと恥ずかしさがこみ上げてきた。
思わず、その後に続く言葉を口にすることをためらう。
それでも、わたしは勇気をふりしぼって切り出した。

「みなさま、お目にかかれて光栄でございます。わたしは星の預言者です。これより、みなさまの未来を『透視』してみせましょう」

わたしは本物の預言者らしく、ぺこりと頭を下げる。
何の前触れもなく始まったイベントショー。
その瞬間、スイーツショップにいた人たちは何事かとざわめいた。

「まずは、そこのあなた」
「……わ、わたしですか?」

わたしが手をかざすと、ニンジン星人さんはわたわたした。

「あなたの星が滅びかけている原因、それは雨が降らないせいですね?」

わたしの言葉に、ニンジン星人さんははっとした顔になる。

「そ、そうです。そうなんです。ニンジン星は、水不足のせいで滅びかけているんです! あぁ、どうすれば……!」

自らの見通しの甘さをくやむように、ニンジン星人さんは頭を抱えた。
その状況を作り出してしまった自分を、今も責め続けているのだろう。
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