星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「ご安心ください。これは『クラウド・シーディングの本』。これがあれば、雨を降らせることができるでしょう」
「雨を……!?」

あまりにも衝撃的な告白だったのだろう。
ニンジン星人さんは驚きすぎて、ピキーンと固まってしまった。
『クラウド・シーディング』は、雲にドライアイスなどの物質をまくことで、雨や雪を降らせることができる技術なんだ。
『クラウド・シーディングの本』には、そのことについて詳しいことが書かれている。
宇宙空港のお店に売られているって、攻略本に書かれていたんだ。

「どうぞ。これで、あなたの星は生き延びられますよ」
「あぁ……、ありがとうございます……」

クラウド・シーディングの本を渡すと、ニンジン星人さんは光を放ち、そのまま消えてしまった。
おそらく、本来の姿、ニンジン星に戻ったのだろう。
これからも、ニンジン星が豊かで幸せいっぱいな星でありますように。
切に願うと。

「次はあなた」
「は、はい!」

わたしはくるりと、今度はマイク星人さんを指名した。

「あなたの星が滅びかけている原因、それは『星を喰らうサビ』のせいですね?」
「何故、それを?」

ぴたりと言い当てたことで、マイク星人さんは動揺した。
マイク星では、『マイクで歌うこと』自体が星のエネルギー源になっている。
でも、今はマイクなどの金属類にサビが生えすぎて、マイクで歌うこと自体が厳しいんだ。
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