星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
わたしは気持ちを切り替えるように、握りこぶしを作って気合いを入れた。

「これから、あなたのために――マイク星のために歌います。わたしの大好きなことを歌詞にして。そうすれば、星を喰らうサビは、すべて消滅するでしょう!」
「!? もしかして、あなたは、私が……消滅しかけているマイク星が具現化した存在だと知って……」

わたしがさらにすべてを見通すことを告げたことで、マイク星人さんの混乱は拍車がかかったみたい。
目をぱちくりさせている。
わたしは事前に準備していたマイクを手に取り、深呼吸した。
そして――。

「今日の甘いスイーツは~♪ マイク星のみんなの心をトリコにする~♪」

ノリノリで、歌を口ずさむ。

「おうた~♪」
「おぉ……、すばらしい歌です……!」

その歌い出しに、千彰くんとマイク星人さん以外は目が点になったけれど。
わたしは意気揚々とした笑顔で、続きを歌う。
だって、マイク星を救うためには、『自分の大好きなことを歌詞にして歌えばいい』って攻略本に書かれていたから。

「おいしいを求めて、はるか遠い希望の地へ~♪ 出会いの数だけつながる、スイーツ仲間~♪ 今日もハッピーエンド、スイーツ日和~♪」

楽しくて思わず、最後まで歌いきってしまった。
うんうん。
スイーツづくしの歌はすばらしい。
そう思って、そっと前を見つめると。
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