星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち


花火みたいにキラキラと輝く、懐かしい記憶がある。
秋の天気は変わりやすい。
移り気な天気は、いつ変わるかわからない。
小学五年生の秋。
その日も、わたしはふてくされた顔で、公園のブランコに座っていた。
同じクラスの男の子たちに、家がビンボーなことをバカにされたからだ。

「家がビンボーなのは、お父さんとお母さんのせいじゃない……」

わたしはふと、お父さんが前に言っていたことを思い出していた。

『日和がひとりぼっちにならないように、日和のそばにいてほしい』

あの時、お父さんが必死に、お母さんにそうお願いしてくれたから。
お母さんは今もできる限り、わたしのそばにいてくれるんだ。
わたしの家には、多大な借金がある。
でも、その借金は、おじいちゃんが残した借金だ。
必死に働いて、借金を返済しているお父さんが、そこまでわたしのことを考えてくれていたと知って、胸がぎゅっとなる。

「お父さんとお母さんは毎日、頑張っていてすごいんだもん!」

地面に足をつけたまま、小さくゆらしてみるけれど。
どうしても、気分は晴れない。
――泣きそうな顔で、ブランコのくさりをぎゅっとにぎった……その時だった。

「どうかしたの?」

見ず知らずの男の子に声をかけられた。
秋の日ざしのように涼やかで、花をゆらす風のように柔らかな声だった。
< 30 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop