星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち
「たとえ、かなわない願いだとしても、それまでに幸せを受け取った人が、さらに別の人に夢を与えていく……。やがて、それは無限に咲いて広がっていく、幸せの種になるんじゃないかな」
「無限に……」
わたしは男の子が口にした言葉を反芻する。
「踏みつぶされても、消えても、いつかきっと、それがどこかに広がって……」
男の子は、そこで噛みしめるように言葉を止める。
そして、どこか遠くを見るような目をしてつぶやいた。
「誰かの心に、小さな幸せの花が咲くんだと思う」
「幸せの花……」
そう語る男の子の目は、星がまたたくかのようで。
「……夢を持つことは、奇跡みたいなことを追いかけるようなものかもしれないね」
その優しい笑顔に、心臓の音が早くなる。
……何でだろう。
男の子が隣にいてくれる。
今は、それが嬉しい。
この温かい体温があれば、何にでも立ち向かえる気がした。
「そうなの! 奇跡みたいなことだよね!」
わたしはくさりをぎゅっとにぎり、ブランコを大きくこいだ。
それから二人で、とりとめのないことを話した。
本当に、重大な話なんてひとつもなかった。
でも、それがよかった。
続く毎日に、特別な出来事なんて、そうそうないんだから。
家がビンボーで、欲しいものを願っても、手に入れることが難しい。
夢を持つこともきびしいモノクロの世界。
そんなわたしの世界に、色がついたのはその日からだった。
「無限に……」
わたしは男の子が口にした言葉を反芻する。
「踏みつぶされても、消えても、いつかきっと、それがどこかに広がって……」
男の子は、そこで噛みしめるように言葉を止める。
そして、どこか遠くを見るような目をしてつぶやいた。
「誰かの心に、小さな幸せの花が咲くんだと思う」
「幸せの花……」
そう語る男の子の目は、星がまたたくかのようで。
「……夢を持つことは、奇跡みたいなことを追いかけるようなものかもしれないね」
その優しい笑顔に、心臓の音が早くなる。
……何でだろう。
男の子が隣にいてくれる。
今は、それが嬉しい。
この温かい体温があれば、何にでも立ち向かえる気がした。
「そうなの! 奇跡みたいなことだよね!」
わたしはくさりをぎゅっとにぎり、ブランコを大きくこいだ。
それから二人で、とりとめのないことを話した。
本当に、重大な話なんてひとつもなかった。
でも、それがよかった。
続く毎日に、特別な出来事なんて、そうそうないんだから。
家がビンボーで、欲しいものを願っても、手に入れることが難しい。
夢を持つこともきびしいモノクロの世界。
そんなわたしの世界に、色がついたのはその日からだった。