星を救いたいわたしと、かりそめのあなたたち

第三章 すっかり有名人になりました

ドタバタしながらも、引っ越しの作業を終えた数日後。

「日和ちゃん、おはよー」

わたしが重い足取りで教室に入ると、前の席のユリちゃんが声をかけてきた。
真優(まゆう)ユリちゃんは明るくて、宇宙とゲームが大好きな女の子。
ハキハキしていて、クラスでもすごく目立つんだ。
ユリちゃんの家に行った時は、宇宙の話か、ゲームをしたりしている。
部屋の本棚には、宇宙の本とゲームの攻略本がずらり並んでいてすごいんだ。

「……おはよう」

わたしはそう返すと、机にカバンを置いた。

「何か、あったの?」
「はあ……」

ユリちゃんにそう聞かれても、わたしの口からはため息しか出てこない。
スイーツショップの様子が、銀河経由のSNSや動画配信を通じて拡散された。
その影響で、ショートケーキをメインとした地球のスイーツが、宇宙人さんたちに爆発的に売れたみたいなんだけど。

「スイーツショップで繰り広げられた、眞中さんの予言ショーはすばらしかったです!」

マンションに暮らしている宇宙人さんたちは、新しく引っ越してきた地球人――つまり、わたしたち家族の話題で持ちきりだったんだよね。
あれから奇想天外な宇宙人さんたちと遭遇しまくって。
挙げ句の果てには、日本の観光名所を教えてほしいと追いかけ回される羽目になったんだ。
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