政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
父王は深く息を吐き、しばし沈黙の後、短くうなずいた。

「……うむ。」

その瞬間、ラディウス王の目が一瞬だけ細まり、私を射抜いた。

それが怒りなのか、別の感情なのか、私には分からなかった。

「……ラディウス王は、正妻はいないのか。」

父王はゆっくりと、探るような声で尋ねた。

「おりません。妻は一人も。」

ラディウス王もまた、落ち着いた口調で応じる。

「なぜに我が娘を求める?」

父王の問いに、ラディウス王は一瞬だけ私を見た。

その鋭い眼差しに、思わず息を呑む。

「……正直申しますと、一目で気に入りました。」

胸がドクンと高鳴った。

私を……気に入った?

あの、戦場を駆ける荒々しい王が――?

「娘を、大事に扱うか。」

父王の声が低く響く。
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