政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
「有難く存じます。」

そしてラディウス王は、大きな手で私の手を掴んだ。

その力強さに、思わず息が詰まる。

「リフィア姫。」

「……はい。」

「俺が、あなたを幸せにします。」

――ああ、もう逃げられない。

その瞳の奥に映る自分を見た瞬間、そう悟った。

「……はい、お願いします。」

声は震えていたけれど、それを押し隠すように微笑んだ。

「両国の門出だ!」

父王が喜びの声を上げる。

「今日は祝宴としよう!」

その言葉に、王の間は一気に華やいだ。

笑い声、拍手、酒の香り。

ただ一人――

私だけは、胸の奥に重い影を落としたまま、静かに立ち尽くしていた。

そしてダイニングには、見たこともないほど豪華な食事がずらりと並んでいた。

煌びやかな銀器に盛られた肉料理、香り高いスープ、甘く焼き上げられた果実のタルト。
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