政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
「うっ……うっ……」

胸の奥からこみ上げてくる悲しみに、私はその場にしゃがみ込み、顔を覆った。

その時だった。

「リフィア姫。」

背後から、低く響く声。振り返ると、ラディウス王がそこに立っていた。

「今、戻ります。」私は慌てて涙をぬぐい、そう告げた。

「いえ……無理なさらず。」

彼の声は意外なほど柔らかかったが、その奥に潜む感情は読み取れなかった。

「結婚式、明日に決まった。」

唐突に告げられたその言葉に、胸が跳ねた。

「えっ……」

今日決まったばかりの婚姻話なのに。

「どうして?」

「父王が、どうしてもこちら側で結婚式を挙げたいと仰せだ。」

一歩、思わず後ずさる。

「そんな……ドレスが間に合わないわ。」

「あるものでかまわない。」

まるで私の準備や心の整理など関係ないと言わんばかり。

そんなに早く、この国を離れるの……?
< 15 / 54 >

この作品をシェア

pagetop