政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
その何気ない気遣いが胸に沁みた。ずっと私のことを気にかけてくれている――そう感じられる言葉だった。

「……あの、王。」

「……ラディウスと呼んでくれ。」

低く穏やかな声に、胸がドクンと跳ねた。

名前を呼び捨てにする距離感――それは、もう私達が形式だけではない関係になったという証のようだった。

「リフィア。」

呼ばれた瞬間、空気が甘く揺らぐ。

唇の動きだけでなく、その視線までがまっすぐに私を捉えていて、逃げ場がなかった。

「ご両親は? ご健在?」

「いや、戦争で亡くなった。」

短く告げられた事実に、胸が詰まる。

「……ごめんなさい。余計なことを聞いたわ。」

「いいんだ。大切なことだ。」

その横顔は、ほんの一瞬、哀しみの影を帯びた。

けれど次の瞬間には、また穏やかな表情に戻っていた。

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