政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
「そうなの。」と私が目を丸くすると、彼はさらりと笑って言った。

「祖父は若い側室を持っていたから、叔父上がやたら多くてね。」

その意外な事情に思わず笑い声が漏れた。

「夕食にしよう。疲れただろう。」

「はい。」

案内されたのは、高い天井と長いテーブルが印象的な大きなダイニング。

壁には歴代王の肖像画が並び、暖炉の火が赤々と揺れている。

椅子に腰を下ろすと、アンドリューが少し言いにくそうに私を呼んだ。

「ええっと……お妃様。」

その響きに、胸がくすぐったくなるような、不思議な実感がこみあげた。

今、私は本当にラディウス王の妻になったのだ――そう静かに確信した。

夕食はまるで祝宴のように豪華で、口にした料理はどれも絶品だった。

「どれも美味しいわ。」と素直に感想を漏らすと、隣のラディウスが柔らかな笑みを浮かべる。

「それはよかった。」
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