政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
そして寝間着を着て、私は寝室に向かった。

寝間着の胸元がわずかに開き、鼓動が布越しに伝わる。

扉が開き、ラディウスが静かに寝室へ入ってきた。

「先に来ていたか。」

低い声と共に、部屋の灯りが落とされる。

闇の中、ベッドへと近づく足音が響く。

「怖いか。」

私は首を横に振る。

「……ううん。」

ラディウスが私の頬をそっと包み、そのまま唇を重ねた。

一度、二度、そして三度。

何度も繰り返される口づけは、甘く、熱を帯びていく。

吐息が混ざるたび、心臓がますます早く跳ね、胸の奥がじんわりと熱を宿していった。

そして寝間着がはだけて、肌が露わになった。

ラディウスも自分の服を脱ぎ棄てた。

お互い裸同士。気恥ずかしかった。

「綺麗だ。」

胸に手を触れられ、舌が肌を転がった。

「んん……ああっ……」

初めての感触に吐息が漏れる。
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