政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
しばらくして、お兄様が王の間へ戻ってきた。
「父上、相手方の王が……和平交渉に応じてくれました。」
安堵の息をつく間もなく、その後ろから堂々と歩み出てきたのは、いかにも戦で名を馳せた王――ラディウスだった。
鎧の金具が揺れるたび、重い空気が押し寄せる。
長い戦を越えてきた証のように、髪は乱れ、日焼けした肌が鋭い眼光を際立たせている。
色白で整った髪を持つお兄様とは、まるで正反対。
粗野とも言える風貌なのに、纏う気迫と威厳が、場の空気を一変させた。
しかも鎧の下に覗く鍛え上げられた筋肉は、武器を取らずとも人を屈服させるような恐ろしさを孕んでいる。
私の心臓は、なぜか恐怖と……それとは違う感情の狭間で高鳴っていた。
「父上、相手方の王が……和平交渉に応じてくれました。」
安堵の息をつく間もなく、その後ろから堂々と歩み出てきたのは、いかにも戦で名を馳せた王――ラディウスだった。
鎧の金具が揺れるたび、重い空気が押し寄せる。
長い戦を越えてきた証のように、髪は乱れ、日焼けした肌が鋭い眼光を際立たせている。
色白で整った髪を持つお兄様とは、まるで正反対。
粗野とも言える風貌なのに、纏う気迫と威厳が、場の空気を一変させた。
しかも鎧の下に覗く鍛え上げられた筋肉は、武器を取らずとも人を屈服させるような恐ろしさを孕んでいる。
私の心臓は、なぜか恐怖と……それとは違う感情の狭間で高鳴っていた。