政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
「うん、美味い。」

たった一言なのに、私の胸は甘くときめく。

これで、新婚の夢が叶ったのだと——そう思えた。

朝食を終え、少し落ち着いた頃。

ラディウスの大きな手が、私の背中にそっと触れた。

最初は肩口を撫でるだけだったのに、その軌跡は次第に広がり、首筋から腰へ、そしてお尻の上まで滑っていく。

「ラディウス……」

思わず声が震える。甘い痺れが走り、初夜の余韻が再び蘇ってきた。

すると彼は私を強く抱き寄せた。

胸に耳を押し当てると、力強い鼓動が伝わってくる。——まだ、昨夜の夢が続いているみたい。

だがふと見上げると、ラディウスの視線はどこか遠くを見ていた。

私を見ているのに、私ではない何かを見ているような目。

「……何か思い出したの?」

問いかけると、彼は小さく息を呑み、ハッと我に返ったように首を振った。

「いや、何でもない。」

その言葉だけでは納得できず、私は彼の胸元を掴んだ。
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