政略婚の妻に、王は狂おしく溺れる ―初恋の面影を宿す王妃―
やがて人数分の椅子が並べられ、王の間は一気に緊張感に包まれる。
「こちらの言い分は、速やかに兵を撤退していただくことだ。」
父王が低く告げると、ラディウス王は間を置かず応じた。
「我らの望みは、南方の土地を返上していただきたい。」
「南方⁉」思わずお兄様の声が上ずる。
南方は交易の要。失えば国の繁栄は大きく揺らぐ。
「全て渡すという訳にはいかない。」
お兄様の目が鋭くなる。
「では、せめて南方五地方を。」
ラディウス王の声は淡々としているが、その奥に譲らぬ意志が見えた。
「五地方だと?」お兄様はさらに身を乗り出す。
「元は我らの国だった場所です。」
静かな口調で告げられたその言葉に、私は初めて、彼が何を目的にここへ来たのかを悟った。
「こちらの言い分は、速やかに兵を撤退していただくことだ。」
父王が低く告げると、ラディウス王は間を置かず応じた。
「我らの望みは、南方の土地を返上していただきたい。」
「南方⁉」思わずお兄様の声が上ずる。
南方は交易の要。失えば国の繁栄は大きく揺らぐ。
「全て渡すという訳にはいかない。」
お兄様の目が鋭くなる。
「では、せめて南方五地方を。」
ラディウス王の声は淡々としているが、その奥に譲らぬ意志が見えた。
「五地方だと?」お兄様はさらに身を乗り出す。
「元は我らの国だった場所です。」
静かな口調で告げられたその言葉に、私は初めて、彼が何を目的にここへ来たのかを悟った。