最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
体育祭当日
※ ※ ※
そして迎えた体育祭当日。
青い空! 白い雲! 絶好の体育祭日和――とは残念ながらいかないんだ。
だって、こんなに暑い日ならかげくんが体調を崩しちゃうかもしれないから。
「かげくん、大丈夫? 今日結構暑いけど……」
心配になった私は、隣にいるかげくんに恐る恐る声をかける。
「……ああ、これくらい平気だよ」
かげくん、無理して笑ってる……
その笑顔、痛々しいよ……
私の不安がかげくんに伝わってしまったのか、彼は声色を明るくして話題を変えた。
「それにしても、勝ったら先生からご褒美が貰えるらしいよ。だから、一緒に頑張ろうか」
目の前にかげくんの手が差し出される。
私はその手をゆっくりと握った。
やっぱり熱い……無理してないといいけど……
グラウンドの方へ目を向けると、もう生徒たちが集まりはじめていた。
そこには、何人もの生徒が赤や白のハチマキを頭に巻いて腕で自身の額の汗を拭いている姿があった。
みんな暑そうだな。人間でも大変なのに、吸血鬼ならもっと大変なんじゃ……
心配そうにかげくん見ると、背中をトンと軽くつつかれた。
「そろそろ行こう。二人が待ってると思うし」
「うん……かげくん、無理しないでね……?」
「ありがとう。ひかりもね」
私たちがグラウンドへ向かうと、かげくんの言う通り霞くんと虹香ちゃんが先に待っていてくれた。
二人は私たちと同じチームで赤のハチマキを頭に巻いている。
「お待たせ、二人とも!」
「おせぇぞ、ひかり!」
「ひかりちゃん、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ! 第一種目、なんだっけ?」
「最初は、徒競走と騎馬戦。次に綱引きと玉入れ。それから借り物競走と二人三脚だよ。俺たち二年生はこれくらいかな」
かげくが完璧にスラスラと種目を教えてくれる。
「思ったよりも多いんだね」
私が顔をあげると、校庭の方から集合の合図である笛の音が聞こえてきた。