最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
まずは第一種目の徒競走!
霞くんと虹香ちゃんは第二走者らしい。
「どっちが速いか勝負する?」
かげくんがいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
思ったよりも元気そうでよかった。
「私、結構速いよ!」
同じように私も微笑み返す。
私たちは同じスタートラインに立った。
人数は私とかげくんを合わせて五人くらい!
スタートの合図が鳴るのを待っていると。
「なぁ、聞いたか? アイツ吸血鬼らしいよ。それもこの学校でただ一人! やべえよな!!」
「えーー! こわーい! 噛まれたらどうしようー! 吸血鬼って乱暴って聞くしさぁー それにこの前のニュース見た? 吸血鬼の男が我慢出来なくて、街中で人を襲ったんだって!」
何やら吸血鬼の噂をしている男女二人組み。
かげくんが近くにいることなんて気にせずに大きな声で話している。
かげくんのこと何も知らなくいくせに……
断片的な情報で決めつけないでよ。
自分が悪く言われたわけじゃないのに、心の中でモヤモヤが溜まる。
そんな私のことなど関係なくピッッーーーと笛の音が鳴る。
「いにちついてー! よーいドン!!」
みんな一斉に飛び出す。
私も全力で地面を蹴ったけど――
考え事をしていたからか、いつもより足が上がらなくて。
ビリから数えた方が早い順位になってしまった。
でも、私は自分のことよりもかげ君が心配だった。
ただでさえ今日は暑くてそれだけでも大変なのにあんな陰口みたいなこと言われて大丈夫なのかな……
かげくんの様子が気になった私は隣にいる彼の表情を伺う。
しかし、かげくんは気にしている素振りはなく私に向かっていつも通り優しく微笑む。
「汗すごいよ? 大丈夫?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「ほんとに? ほら、拭いてあげる。おいで」
かげくんはこんなにも優しい。
吸血鬼だけど、無理やり血は吸わないし私の嫌がることをしたことだって一度もない。
今だって自分の方が辛いはずなのに私のことを気遣ってくれて……
「かげくん……ほんとに無理しないでね……? また私の血吸っていいから!」
「……ああ、ありがとう」
かげくんのことを気にしながらも次の競技である騎馬戦をするために位置につく。
前にかげくん、後ろに霞くんと虹香ちゃんが私を支えてくれている。
「みんな大丈夫? 私重くないかな……?」
「これくらい余裕だ」
「むしろ軽いくらいだよ。もっと俺に体重乗せていいからね?」
二人とも頼もしないなぁ。
かげくんの言葉に私は恐る恐る彼の肩に手を置いて前のめりになる。
「ひかりちゃんっ私も頑張るね!」
虹香ちゃんの声に後ろを振り向いて笑顔を向ける。
「ありがとうっ虹香ちゃん!」
そしていよいよ騎馬戦がスタートする。
少しでも多く相手のハチマキを取れたら勝ちというシンプルなルール。
かげくんと霞くんは虹香ちゃんのペースに合わせて動いくれていた。
二人とも優しい!
よーーし! 三人のためにも頑張ろう!
パンッ!
合図と同時に相手の騎馬が突っ込んできた。
「ひかりちゃんっ右から来るよ!」
下で虹香ちゃんの声が響く。
冷静な彼女の声に、私の体は自然と指示通りに動けた。
こちらに伸ばしてくる相手の手をひらりとかわして、逆に手を伸ばす。
ぐいっと白のハチマキを掴んで引っ張るとスルッと一本取れた。
よし!
まずは一本目!
でもまだ終わりじゃない。
次々と相手の騎馬が迫ってきた。
空手で鍛えた反射神経とバランス感覚で次々にハチマキを取っていく。
「……やっぱ強いな」
下から霞くんの驚いたような声がした。
「へへ、ありがとう! まだまだいけるよ!」
息を切らしながらも笑顔を見せると、かげくんがクスッと笑う。
「流石ひかり。下は俺たちがサポートするから、安心して。な? 白鳥」
「ふん、当然だろ」
「私は力とかスピードとかないけどひかりちゃんのためにできることをするね!」
虹香ちゃん、なんていい子なんだろう。
かげくんも霞くんも私のために頑張ってくれている。
この勝負絶対勝つ!
そして私は三人のサポートのおかげで自由に動くことができ、気づけば私の手にはハチマキが何本も握られていた。
これで徒競走の分は挽回できたかな!
「三人とも本当にありがとう!」
私は改めてみんなにお礼を伝えた。
三人とも優しいから私のおかげで勝てたと言ってくれていたけど、間違いなく下で補助してくれたみんなのおかげだ!
それからも私たち四人は綱引きや玉入れで勝ち進めていき、あっという間に残る競技は借り物競走と二人三脚の二つになった。
虹香ちゃんに少しでも休んでもらおうとペアを交代して、借り物競走は私と霞くんが出ることになった。
「この勝負絶対勝とうな!」
「もちろん! どんなお題が出てもクリアして見せるんだから!」
二人で白線が引いてあるスタートラインに立つ。
スタートの笛が鳴ると同時に一気に全力で走り出す。
一番最初にお題の紙を手に取ったのは私だった。
ええと、お題は……
『誰かをおんぶしてゴールすること』
お! これなら出来そう!
霞くんは私と同じ競技に出ているから、相手はかげくんか虹香ちゃんだよね。
私は急いで辺りを見回す。
あれ? かげくんがいない。
もしかしてどこかで休んでるのかな?
……って、今はそんなこと考えてる時間ない!
私は駆け足で虹香ちゃんのところへ向かってお題の紙を見せて彼女をおんぶして走り出す。
周りに注目されていることで虹香ちゃんは恥ずかしそうにしながらも身を預けてくれた。
「ゴーーール! 一位は朝日ひかりさんですっ! お題は誰かをおんぶすること! 見事にやりきってくれました!」
テープを切ったと同時にアナウンスが会場中に広がる。
「おぉっ! さっきからあの子すごいな! 自分と同じ体格の子をおんぶしてるのに!」
「女の子とは思えない!!」
周りから次々と賞賛の声が上がるとともに、クラスメイトたちからは"やっぱゴリラだよな"や"女じゃねーだろあんなの"などと辛辣な声も聞こえてくる。
「ひどい……気にしなくていいからねっ」
周囲のトゲのある言葉に虹香ちゃんがフォローしてくれた。
「ありがとう、虹香ちゃん……」
普段大人しい虹香ちゃんが私を庇ってくれたことが嬉しくて泣きそうになる。
霞くんと虹香ちゃんは第二走者らしい。
「どっちが速いか勝負する?」
かげくんがいたずらっ子のような笑みを浮かべる。
思ったよりも元気そうでよかった。
「私、結構速いよ!」
同じように私も微笑み返す。
私たちは同じスタートラインに立った。
人数は私とかげくんを合わせて五人くらい!
スタートの合図が鳴るのを待っていると。
「なぁ、聞いたか? アイツ吸血鬼らしいよ。それもこの学校でただ一人! やべえよな!!」
「えーー! こわーい! 噛まれたらどうしようー! 吸血鬼って乱暴って聞くしさぁー それにこの前のニュース見た? 吸血鬼の男が我慢出来なくて、街中で人を襲ったんだって!」
何やら吸血鬼の噂をしている男女二人組み。
かげくんが近くにいることなんて気にせずに大きな声で話している。
かげくんのこと何も知らなくいくせに……
断片的な情報で決めつけないでよ。
自分が悪く言われたわけじゃないのに、心の中でモヤモヤが溜まる。
そんな私のことなど関係なくピッッーーーと笛の音が鳴る。
「いにちついてー! よーいドン!!」
みんな一斉に飛び出す。
私も全力で地面を蹴ったけど――
考え事をしていたからか、いつもより足が上がらなくて。
ビリから数えた方が早い順位になってしまった。
でも、私は自分のことよりもかげ君が心配だった。
ただでさえ今日は暑くてそれだけでも大変なのにあんな陰口みたいなこと言われて大丈夫なのかな……
かげくんの様子が気になった私は隣にいる彼の表情を伺う。
しかし、かげくんは気にしている素振りはなく私に向かっていつも通り優しく微笑む。
「汗すごいよ? 大丈夫?」
「う、うん。大丈夫だよ」
「ほんとに? ほら、拭いてあげる。おいで」
かげくんはこんなにも優しい。
吸血鬼だけど、無理やり血は吸わないし私の嫌がることをしたことだって一度もない。
今だって自分の方が辛いはずなのに私のことを気遣ってくれて……
「かげくん……ほんとに無理しないでね……? また私の血吸っていいから!」
「……ああ、ありがとう」
かげくんのことを気にしながらも次の競技である騎馬戦をするために位置につく。
前にかげくん、後ろに霞くんと虹香ちゃんが私を支えてくれている。
「みんな大丈夫? 私重くないかな……?」
「これくらい余裕だ」
「むしろ軽いくらいだよ。もっと俺に体重乗せていいからね?」
二人とも頼もしないなぁ。
かげくんの言葉に私は恐る恐る彼の肩に手を置いて前のめりになる。
「ひかりちゃんっ私も頑張るね!」
虹香ちゃんの声に後ろを振り向いて笑顔を向ける。
「ありがとうっ虹香ちゃん!」
そしていよいよ騎馬戦がスタートする。
少しでも多く相手のハチマキを取れたら勝ちというシンプルなルール。
かげくんと霞くんは虹香ちゃんのペースに合わせて動いくれていた。
二人とも優しい!
よーーし! 三人のためにも頑張ろう!
パンッ!
合図と同時に相手の騎馬が突っ込んできた。
「ひかりちゃんっ右から来るよ!」
下で虹香ちゃんの声が響く。
冷静な彼女の声に、私の体は自然と指示通りに動けた。
こちらに伸ばしてくる相手の手をひらりとかわして、逆に手を伸ばす。
ぐいっと白のハチマキを掴んで引っ張るとスルッと一本取れた。
よし!
まずは一本目!
でもまだ終わりじゃない。
次々と相手の騎馬が迫ってきた。
空手で鍛えた反射神経とバランス感覚で次々にハチマキを取っていく。
「……やっぱ強いな」
下から霞くんの驚いたような声がした。
「へへ、ありがとう! まだまだいけるよ!」
息を切らしながらも笑顔を見せると、かげくんがクスッと笑う。
「流石ひかり。下は俺たちがサポートするから、安心して。な? 白鳥」
「ふん、当然だろ」
「私は力とかスピードとかないけどひかりちゃんのためにできることをするね!」
虹香ちゃん、なんていい子なんだろう。
かげくんも霞くんも私のために頑張ってくれている。
この勝負絶対勝つ!
そして私は三人のサポートのおかげで自由に動くことができ、気づけば私の手にはハチマキが何本も握られていた。
これで徒競走の分は挽回できたかな!
「三人とも本当にありがとう!」
私は改めてみんなにお礼を伝えた。
三人とも優しいから私のおかげで勝てたと言ってくれていたけど、間違いなく下で補助してくれたみんなのおかげだ!
それからも私たち四人は綱引きや玉入れで勝ち進めていき、あっという間に残る競技は借り物競走と二人三脚の二つになった。
虹香ちゃんに少しでも休んでもらおうとペアを交代して、借り物競走は私と霞くんが出ることになった。
「この勝負絶対勝とうな!」
「もちろん! どんなお題が出てもクリアして見せるんだから!」
二人で白線が引いてあるスタートラインに立つ。
スタートの笛が鳴ると同時に一気に全力で走り出す。
一番最初にお題の紙を手に取ったのは私だった。
ええと、お題は……
『誰かをおんぶしてゴールすること』
お! これなら出来そう!
霞くんは私と同じ競技に出ているから、相手はかげくんか虹香ちゃんだよね。
私は急いで辺りを見回す。
あれ? かげくんがいない。
もしかしてどこかで休んでるのかな?
……って、今はそんなこと考えてる時間ない!
私は駆け足で虹香ちゃんのところへ向かってお題の紙を見せて彼女をおんぶして走り出す。
周りに注目されていることで虹香ちゃんは恥ずかしそうにしながらも身を預けてくれた。
「ゴーーール! 一位は朝日ひかりさんですっ! お題は誰かをおんぶすること! 見事にやりきってくれました!」
テープを切ったと同時にアナウンスが会場中に広がる。
「おぉっ! さっきからあの子すごいな! 自分と同じ体格の子をおんぶしてるのに!」
「女の子とは思えない!!」
周りから次々と賞賛の声が上がるとともに、クラスメイトたちからは"やっぱゴリラだよな"や"女じゃねーだろあんなの"などと辛辣な声も聞こえてくる。
「ひどい……気にしなくていいからねっ」
周囲のトゲのある言葉に虹香ちゃんがフォローしてくれた。
「ありがとう、虹香ちゃん……」
普段大人しい虹香ちゃんが私を庇ってくれたことが嬉しくて泣きそうになる。