最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
かげくんばかりに負担をかけないよう、私もできる限り料理のお手伝いをした。



「ふぅ、できたっ!」





時間をかけてかげくんと二人で作った夕飯は思った以上に豪華になった。






湯気がほわりと立ちのぼる。



出来立てのハンバーグを切り分けると肉汁がじゅわっとあふれ出す。



その香りに、思わずお腹がぐうっとなった。




「……すごい、美味しそう」




「うん、ひかりと作ったから余計美味しそうにみえるよ」




かげくんががからかうように笑って、私の横顔を覗き込む。




もうっすぐそういうこと言うんだからっ





かげくんと出来たての料理をリビングへ持っていく。




テーブルにはハンバーグのほかに、彩り鮮やかなサラダと、ふわふわな卵のスープ。




それに、にんじんのグラッセまで並んでいる。






「いただきます」




ハンバーグを一口、口に運ぶと肉の甘みと玉ねぎのやさしい甘さがふわっと広がる。



「おいしいっ!」



つぎにスープをすすると、優しい塩気が体にしみわたっていくのを感じた。



「はぁ……幸せだなぁ……」


思わずもらした言葉に、かげくんが驚いたように目を丸くする。


「俺も。……ひかりと食べてるからかな」


「おかわりいる?」




「うん。ひかりがよそってくれるなら」




私はかげくんのお皿にハンバーグを切り分けた。




かげくんは満足そうに目を細めて、「お嫁さんに来てほしいな」と小さな声で呟く。

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