最強スパダリ吸血鬼が私を運命の人だと言って離してくれない!
ベッドの上。




月明かりに照らされた部屋で彼の腕の中に抱きしめられている私は身動き一つ取れない。



「ひかり……」




「な、なに?」



「ひかりの血ほしい……」






その瞳にはいつもと同じやさしさとほんの少しの理性が宿っている。



「我慢しようと思った。でも、ひかりが隣にいると……もう、どうしようもなくなる。――めっちゃいい匂いする」


 

彼の指先が、私の首筋にそっと触れる。



「さっき夕飯前に飲んだばっかりでしょ?」




「うん、でもほしくなっちゃった。ダメか……?」




うっそんなうるうるな瞳で見つめられたらっ!





「いいよ、少しだけね」




「流石俺のひかり」

 

その瞬間、かげくんの腕が強く私を抱き寄せた。


「絶対に痛くしないから」





※ ※ ※


血を吸われ続けられている間、私はただ彼の胸にしがみついていた。



この時間さえも、幸せに思える。



しばらくのあいだ、かげくんは私を抱きしめたまま静かに血を味わっていた。





「大丈夫か……?」



かげくんに耳元でささやかれ、私はこくんと小さく頷く。





「うん、全然平気っ」





「そうか、よかった……」



そう言って、かげくんは名残惜しそうに唇を離す。


 

私を見下ろす瞳は、とろけるように優しかった。




「もう寝るか」



かげくんの低くて優しい声が耳に届くと自然と頬が緩む。





私はうん、と小さく返事をして彼に体をを預ける。





彼の体の重み、息づかい。




指先の触れ方――




そのどれもが心地よくて、私は自然と目を閉じた。




少し前までは、自分がこんなふうに誰かに甘えられるなんて思ってもみなかった。




でも今は、誰よりも近くで安心できる存在がここにいることに自然と笑みがこぼれる。




かげくん……



好き……


まだ面と向かっては言えないけど、いつかあなたが私に言ってくれたように私も愛を伝えられたらいいな。




私は最後にもう一度、心の中で「大好き」とつぶやいて目を閉じる。



かげくんの暖かなぬくもりに包まれながら、眠りについた。
< 39 / 46 >

この作品をシェア

pagetop