背筋を伸ばして恋をする。
「わかりました。一旦逃げずに、あなたの話をちゃんと聞きます。なので要求を教えてください」
「要求って、俺犯人ですか」
「まあ遠からず…?」
「こないだ伝えた通りですよ。好きだから付き合ってほしいってことです。でも、いきなりそんなこと言われて戸惑うのもわかります」
一応その認識はあるんだ。
「なので、とりあえず、毎朝一緒に行きましょ。そこで俺のこと知ってほしいし、俺も知りたいんで」
「ここから私の乗り換えまでの15分くらいを一緒に行くってこと?」
「そうです」
考え込む私の様子を見てか、彼は言葉を続ける。
「変なことはしないです。約束します。ただ話しながら一緒に行きたいだけです」