帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
「名前は?」

「美琴と申します。」

その瞬間、暁宮様は静かに身を起こされた。

「いえ、まだ横になっておられませんと――」と慌てて顔を近づけたとき、ふいに視線が重なる。

近い。息がかかるほどの距離に、心臓が跳ねた。

「す、すみません……」

下がろうとした私の肩を、暁宮様の手がそっと引き寄せる。

「ありがとう。君のおかげで助かった。」

その声が耳元に落ちた瞬間、胸の鼓動は早鐘のように鳴り響き、呼吸の仕方さえ忘れてしまいそうだった。

「では、私はこれで。」

「……もう行ってしまうのか。」

その声に足が止まる。背を向けたままでは、なぜか離れられなかった。

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