帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
皇居に着いた頃には、辺り一面が闇に包まれていた。

灯籠の淡い明かりを頼りに、案内役が足早に廊下を進む。

「暁宮様は、こちらにいらっしゃいます。」

辿り着いたのは、若宮御殿と呼ばれる棟だった。

障子を静かに開けると、香の匂いとともに、寝所の空気がふわりと流れてくる。

中央の几帳の向こう、布団に横たわる暁宮様が、苦しげな息を漏らしていた。

(私と同じくらいの年……)

そう思うと、不思議な親近感が胸をよぎる。

額には玉のような汗が浮かび、頬は赤く染まっている。

近くにあった布を水で濡らし、そっとその額に当てた。

「暁宮様……」

呼びかけると、ゆっくりと瞼が開き、熱に揺れる視線が私をとらえる。

次の瞬間、弱々しい手がこちらへと差し伸べられた。
< 6 / 53 >

この作品をシェア

pagetop