帝の唯一の女〜巫女は更衣となり、愛に囚われる〜
私はそっと伸ばされた手を握った。細くしなやかなその手は、熱で少し震えている。

「……御母上……」

うなされた声が私をお母様と間違えているのだと気づかせた。

否定するのは忍びなく、私はそのまま微笑みを含ませて囁いた。

「……大丈夫ですよ。すぐに楽になります。」

布団の端に膝をつき、額へそっと掌を添える。

途端に伝わる火のような熱。はぁ、はぁ、と幼い胸が荒く上下する。

胸の奥が締め付けられた。

「少しの辛抱ですよ。堪えて下されませ。」

そう言いながら、私は静かに目を閉じ、神に祈るように念を送る。

私の手のひらから、柔らかな温もりが彼の熱に沁み込んでいくのを感じた。

やがて、きゅっと握られた指の力が少し緩む。

その寝顔は、幼子のようにあどけない。

皇子であることも、暁宮という立場も、この瞬間の彼には何の意味もないのだと知った。

ただ、一人の少年が、苦しみに耐えている――その姿を、私は何としても救いたかった。
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