あやかしと魔王の側近
「ルーチェ、迎えが来てくれて本当によかった」とギルベルト。

ルーチェの目の前がぼやけていく。しかし、涙が溢れることはなかった。クラルの一言で引っ込んでしまったのだ。

「いや、まだ僕たちは帰れませんよ」

「えっ!?」

アレス騎士団全員とルーチェは驚く。クラルは拘束されたバッカスを見つめ、説明した。

「彼はクレイス・クロックをこの屋敷以外でも何度も使用しています。つまり、この世界には妖以外の存在がまだいるということです。それを討伐せずに帰ることはできません」

「ということは、つまりーーー」

イヅナの言葉に、クラルは少し困ったように笑う。

「もう少しだけ、こちらの世界でお世話になります」

クラルの言葉に、ルーチェも「よ、よろしくお願いします!」と頭を下げる。すぐにレオナードから「そんなに畏まらなくていいだろ!」と笑いながら言われ、ルーチェの顔に笑みが浮かんだ。

お別れが少し先になったことに、ルーチェはどこか安堵を覚えながら空を見上げた。
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