お兄ちゃん、すきだよ。
私はつまずいて、怜くんの胸に顔をぶつけた。
そして胸に顔をうずめる私の頭を、怜くんが抱き寄せた。
「よしよし春乃。元気出せ。」
怜くんの胸に抱かれたまま、しばらく時が止まった。
はぁ、いい匂い。
怜くんの暖かさ、鼓動、手のひら。
すべてに安心した私は、また涙がこぼれそうになった。
「大丈夫になった?」
「うん、ありがとう。元気出たよ。」
「良かったぁ。てかいきなりごめんね!嫌だった?」
パッと手を離す怜くんに、私はニッコリ笑った。
嫌じゃなかったよ。
怜くんありがとう。
私は少しだけ軽くなった足で、学校へ向かった。