お兄ちゃん、すきだよ。
スタート時間になると、たくさんの人が学校にやってきた。
唯一のお化け屋敷であるうちのクラスには人が殺到し、まだ開始して間もないのに大忙しだ。
私は化け猫役として、教室内でお客さんを脅かし続けた。
猫の耳を付けて、ヒゲを書き、首に鈴を付けて忍び足で歩く。
優と一緒に考えた化け猫の衣装。
仲良くふたりで、脅かすはずだったんだけどな。
お化け屋敷に来たお客さんは、面白いほど良く驚いてくれた。
お客さんの大きなリアクションが、お化け役からしたら一番嬉しい。
しかし優と颯太のことが気になった私は、正直少しも楽しめなかった。