お兄ちゃん、すきだよ。
振り返るとそこには、息を切らした颯太がいた。
私は気まずさから、とっさに逃げようとした。
しかし、すぐに颯太に腕をつかまれ、制止されてしまう。
腕をつかむ颯太の手はとても強い力で、少し痛いくらいだ。
「春乃、頼むから聞いてくれ!」
「いや!今は何も聞きたくないよ!」
「春乃!好きだ!好きなんだよ!」
颯太の放った言葉は、私の胸に突きささった。
普通なら嬉しい「好き」という言葉。
しかし、今の私には悲しくてたまらなかった。
「そんなこと、何でいま言うのよ!」
颯太の手を振りほどく。