Devil's Night
 
「いやよ」


 私は首を振った。


「帰れるわけない……。絵莉花が一緒じゃないのに……、帰国するなんて絶対できない」


 涙ながらに訴える私を、夫はじっと見て言った。


「わかった」


 ぽつりと発せられた言葉は、苦痛がつまっているように重く沈んでいく。


 その時、初めて、精神的に不安定な私と、幼い陽人がそばにいることによって、彼の心痛が何倍にも膨れ上がっているのだと悟った。
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